
「知っただけでは人生は変わらない」
↑こんなふうに感じたことはありませんか?
本を読んで、
「よし、やるぞ!」と意気込んだのに、気づけばいつの間にか元の自分に戻っている...。
そんなループに心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
三日坊主になってしまったり、やる気が続かなかったり。
私自身、何度もこの「知ってる」と「行動」のギャップにぶつかってきました。
頭では「こうしたい」と思っているのに、行動がともなわない。
そのたびに、「まただ」とがっかりして、自分を責めてしまったこともあります。
でも実はこの悩み、意志の問題ではありません。
その背景には、私たちの「心の仕組み」が深く関わっているのです。
知っているのに動けないのはなぜ?:意識には2つの領域がある
人間の意識は、大きく分けて2つの領域があると言われています。
ひとつは、「顕在意識(けんざいいしき)」。
意志の力や論理的な思考、学んだ知識が含まれる、いわば“頭で考える”部分です。
たとえば、
「よし、明日から運動しよう」
「この本の内容、実践してみよう」そんなふうに行動を決意するのは、この顕在意識のはたらきによるものです。
しかしもうひとつの領域、
「潜在意識(せんざいいしき)」の影響は、それ以上に大きいと言われています。
潜在意識とは、感情や思い込み、習慣のベースとなる心の奥深くにある領域です。
私たちが普段あまり意識していないにもかかわらず、行動の大半はこの潜在意識に左右されています。
たとえば、
「変わりたい」と頭では思っていても、
心の奥では「今のままの方が安全」と感じていたとしたらどうでしょう。
そんなとき、人は無意識のうちにブレーキを踏んでしまうのです。
「やったほうがいい」とわかっているのに動けないとき、
「それでもやりたくない」という感覚に支配されてしまうとき、
そこでは、潜在意識が「安全でいたい」「失敗を避けたい」という本能的な判断を下しているのかもしれません。
これが、「知っていること」と「実際に変われること」の間にギャップが生まれる理由です。
知識を行動に変える3つのステップ
このギャップを埋めるためには、
顕在意識ではなく、「心そのもの」に働きかけることが大切です。
私自身も実践し、多くの方にお勧めしているのが次の3つのステップです。
①気づく
まず最初に必要なのは、自分の反応パターンに気づくこと。
何かを後回しにしてしまったとき。
つい、いつもの逃げ道に入ってしまったとき。
「またやっちゃった…」と自分をジャッジするのではなく、
「今、自分はどんな反応をしている?」と静かに観察してみてください。
気づくことで、初めて心の自動反応に“選択肢”が生まれます。
②感じる
次に、その行動の直前にどんな感情があったかを見てみましょう。
不安、面倒くささ、緊張など...
そういった感情が、心の中にあったかもしれません。
こうした気持ちは、つい無視したくなってしまうもの。
ですが実は、それを「なかったこと」にしようとすると、潜在意識はさらに強くその感情に反応するようになってしまいます。
「感じる」というのは、感情を否定せず、ただ言葉にしてあげること。
「なんとなく不安だったんだな」
「完璧じゃない自分を見られたくなかったんだな」
そう認めてあげるだけで、感情の支配力は自然と弱まっていきますよ。
③小さく動く
そして最後は、「ほんの少しだけ動いてみる」こと。
大きな変化を起こそうとすると、心の抵抗は強くなりがちです。
でも、
・5分だけ運動する
・1行だけ日記を書く
など、安心できる範囲で行動するなら、心も素直についてきてくれます。
この“やってみた”という感覚が、潜在意識にとっての「安心材料」になるのです。
そして、「これなら大丈夫」「できるかも」と感じた経験が、やがて新しい習慣や自信の土台になっていくんです。
心の”自動運転”を少しずつ書き換える
「気づく → 感じる → 小さく動く」
この3つのステップを無理のないペースで繰り返していくことで、心の“自動運転”は少しずつ書き換わっていきます。
知識を手に入れることは、変化の入口にすぎません。
大切なのは、その知識を感情と結びつけ、「安心できる行動」として日常に落とし込んでいくこと。
人生を変えるのは、特別な才能や劇的な努力ではありません。
自分の心に気づき、そして安心できる一歩を重ねていくこと。
その積み重ねこそが、変化の種になっていくのです。
「なるほど!」と感じた方は、
今日の自分にとって“できそうな小さな一歩”を、ひとつだけ選んでみてください。
その一歩が、
「知っていること」を「動ける自分」に変えていくきっかけになります。
そしてそれは、自分との小さな約束を守れたという実感につながります。
その実感こそが、自信になるのです。
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